わたしたちの福祉 P12 家庭児童相談室の窓から 家庭児童相談室の窓から  携帯電話やデジタル機器を使う生活がすっかり定着しました。当室でお聴きするお話のなかでも度々話題に上ります。  SNSに悪口を書かれる、SNSで仲間はずれにされる、勝手に個人情報を流される等、思春期の子どものいじめ問題ではデジタル機器が必ずといってよいほど登場します。こうしたいじめは事態の進行が早く、対応に苦慮することが少なくありません。  彼氏から、今いる所をテレビ電話で見せろと命令されるという女性の話を聞いたこともあります。彼は彼女の顔を見ながら話すためではなく、彼女がどこにいるか、誰といるかを監視するために、テレビ電話を使っていま した。  子どもの行動を把握するために、子どものスマートホンをこっそりとチェックしている親もいます。GPSで移動経路がわかるので、子どもが何も話さなくても、いつ、どこにいたかがわかり、安心できるというのです。  デジタル機器は、人間関係の促進に大きく貢献する一方で、相手を支配する道具として使われたとき、その関係性に脅威をもたらします。そしてその危険は深刻になる一方です。過去に戻ることができない以上、そのことに自覚的になり、わたしたちの人権感覚を養うことが求められているように感じます。 (家庭児童相談室 相談員 砂川真澄) 発行所 熊本学園大学付属社会福祉研究所     〒862−8680 熊本市中央区大江2−5−1 ☎ 096−364−5161(代) 発行人 所長 黒木邦弘  編集人 社会福祉研究所委員会 印刷所 コロニー印刷 ☎ 096−353−1291 ■再生紙を利用しています。 ■揮発性有機化合物発生の抑止と紙のリサイクル性に優れた「大豆インキ《を使用しています。