センター長挨拶

ごあいさつ

水俣学研究センター長花田昌宣

水俣学研究センター開設以来、地域に根ざした調査研究活動を展開し、海外から13カ国14地域の公害発生地域の住民や研究者を招聘して開催した環境被害に関する国際フォーラム、国内外からの研究者や学生、市民団体の受け入れや研修、新日窒労組全国巡回資料展、水俣の地元での公開講座や地域戦略プラットフォームの構築、医療福祉相談事業、大学での学部から大学院にいたる水俣学の教育と人材育成の展開など広範な活動を展開してきました。『水俣学講義』や『水俣学ブックレット』、『水俣学研究資料叢書』、研究紀要『水俣学研究』なども刊行し、遅々たる歩みではありますが、成果を世に問うてきました。

とはいうものの、私どもの水俣学は、いまだ緒に就いたばかりです。水俣病の公式確認から半世紀以上たってもなお、課題は山積していることはいうまでもありません。水俣学研究センターとしては、水俣病被害者と地域住民の視点にたち、水俣病の長い歴史をふまえたうえで将来を見据えた、研究調査活動をすすめて行きたいと考えています。

私自身が初めて水俣病患者と出会ったのは、水俣病第一次訴訟判決の翌年1974年でした。遅れてきた世代と自覚しつつ、東海地区に移住してきたいわゆる県外患者の発掘作業に加わりました。その時に2012年6月に亡くなられた原田正純先生とのご縁が出来ました。その年には水俣も訪れ、それ以来、水俣との縁も切れずに続いていました。原田正純先生を本学に迎えた1999年から水俣学研究プロジェクトを立ち上げ、あらためて水俣病にかかわる調査研究に取り組むとともに、水俣学の構築をすすめています。

大学という教育研究機関で新たな学の形成を謳いながら、独自の方法と内容で何がどこまで出来るのか、壮大な実験に取り組んでいるという自負を持ちながら、少しずつ歩みをすすめて行きたいと思っています。この試みは、大学というアカデミズムの壁の中だけですすめるものではなく、ひろく開かれたものとしてすすめて参ります。どうぞ従来にもましてご協力ご指導そして何より私どもの試みへのご参加を賜りますようお願い申し上げます。